間もなく9月、いよいよ10月には「ぼうさいこくたい2018」の開催が待っています。今回は、出展団体インタビューの2回目。「ぼうさいこくたい2018」では「大規模災害に備える・みんなの連携の輪を地域で強くする」というテーマを掲げています。そこで、出展団体インタビューでは、出展団体それぞれの防災活動を通して、どのような連携の輪が作られるか、考えていきたいと思います。今回は「専門家から見た防災」という切り口から防災学術連携体事務局長、田村和夫氏に話を聞きました。「防災学術連携体」、防災に詳しい方でないと少し「難しそう」と思われる方も多いかもしれませんが、わかりやすく解説をいただきました。
防災学術連携体 設立の背景
そもそも防災学術連携体は、日本建築学会、土木学会など、あらゆる学会の集合体となります。学会や研究所は、専門的なことを突き詰めていきます。本来ですと専門的な分野とはいえブレイクダウンをしてトータルで皆様にわかりやすい形で伝えていくことが必要なのですが、なかなか学会というものは、一つの物を追求するタイプなので、今まで出来ていませんでした。東日本大震災が発生した際に、専門家がこれではまずいと感じました。最初は地震防災の対応で連携を考えました。建物の耐震のことを研究するにしても地震を知らないといけないし、被災した後の生活を考えるなら医学についても考えないといけない。ここは各団体が連携をして防災について考え直そう、という考えのもとスタートしました。最初のスタートは地震災害が対象でしたが、2016年に新しく設立したこの防災学術連携体では、対象を自然災害全般としています。参加学会数も以前は地震防災関係の学会が30でしたが、今では自然災害に関係する多くの分野の168学会が集まっています。
防災学術連携体その活動とは
学会の連携は、場を設けることから始まりました。まずは内輪のインフラを整えるところからはじまり、シンポジウムを年に2、3回やり、ようやく整ってきました。一つの目的は学会同士の連携ということですが、学会が正確な知識、情報をわかりやすく一般の方に伝えるということも目的の一つです。災害時の専門家は、つい専門的な話をしがちになり、一般市民に対して不親切なことが多いかと思います。相互のコミュニケーションを日常のシンポジウムでやっていれば、いざ災害が起きた時にうまく連携して市民とのコンタクトがとれると思います。熊本の震災の際は、30学会と一般市民の方が来場し、発表をし、現地の県の方とコミュニケーションをとりました。
今まで、やや専門家よりでしたが、今後は政府機関、省庁の方とコミュニケーションをとって政策にも反映をしていただきたいと思っています。元々各学会というのは、それぞれが研究をしていますが、学会に入っていなくても先生方は独自で防災活動はしています。それも非常に大事ですが、それとは別に学会が集まった中で相互に連絡調整を行い、それを通したうえで市民に発信していく、そんな動きも大切だと思っています。ただ、ここ数年は災害が絶えず、こんなに激しくなるとは、正直予想外です。その中で連携がより大切な役割を担うと感じています。
当日の講演内容
今回の「ぼうさいこくたい2018」では、いわゆる専門家の分野から見た首都直下地震への備えをわかりやすく市民に伝えます。一般市民の皆さまからの質問に答えるコーナーを設けて、そこで市民の代表的な質問を専門家の人たちに答えてもらうことを狙いとして、プログラムを組みました。完全に一般向けのオープンな講演にしたいと思っています。難しいことがテーマになってしまいますが、わかりやすく、各学会から先生に答えていただきます。
ポスターセッションやプレゼンテーションもあり、分かりやすく皆さまに防災についての知識を覚えてもらおうと思います。ぜひご参加ください。
防災学術連携体 講演
- タイトル:あなたが知りたい防災科学の最前線――首都直下地震に備える
- 日時:2018 年 10 月 13 日(土)16:30 ~ 19:00
- 会 場:東京ビッグサイト会議棟7F国際会議場 交通アクセス
同フロアにてポスター掲示(13日・14日)