ぼうさいこくたいとは

 阪神・淡路大震災から27年が経ちました。甚大な被害が発生し、沢山の大切な命が奪われましたが、この震災は同時に、「ボランティア元年」とも呼ばれたボランティアの活躍や、行政による「公助」に加え、一人ひとりが自分の身は自分で守る「自助」、さらに地域で助け合う「共助」の重要性が認識されるなど、我が国の防災政策の大きな転換点でもありました。

 近年、災害が激甚化・頻発化しており、また、南海トラフ地震や首都直下地震等の大規模災害はいつ発生してもおかしくない状況です。阪神・淡路大震災をはじめ、各地で相次ぐ災害の経験と教訓を、決して「忘れることなく」、次世代に「伝え」、防災・減災にもっと「活かし」、次の災害に「備える」必要があります。国民一人ひとりが「自分も災害で危険に遭うかもしれない」と災害を「自分事」として捉え、日頃からの防災活動に取り組むことが重要となっています。

 折しも2022年は「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」の開設20周年に当たります。同センターは、これまで、阪神・淡路大震災の経験や教訓、創造的復興の過程を発信するだけでなく、実践的な防災研究や人材育成、被災地支援など国内外の防災・減災活動の推進に貢献してきました。また、復興まちづくりのシンボルとして整備された「HAT神戸」には、同センターをはじめ、防災や人道支援等の様々な分野の専門機関・国際機関が集積しており、互いに連携しながら国際防災拠点として活動しています。

 7回目を迎えるぼうさいこくたいは、この「人と防災未来センター」を中心とするHAT神戸から、「未来につなぐ災害の経験と教訓~忘れない、伝える、活かす、備える~」をテーマとして、災害の経験や教訓の伝承の重要性を再認識し、私たち一人ひとりが日頃から防災に取り組むことの大切さを訴える機会としたいと考えています。また、大会を契機に、全国の災害伝承施設のネットワークを強化していくことで、防災意識の向上、ひいては我が国全体の防災力の向上を図っていきたいと考えています。

【ぼうさいこくたい開催の背景】

 平成27(2015)年3月、「第3回国連防災世界会議」で「仙台防災枠組 2015−2030」が採択されました。そこでは、自助・共助の重要性が国際的な共通認識とされ、各界各層の有識者から成る防災推進国民会議が発足しましたが、この発足を機に、内閣府、防災推進協議会とともに、国民の更なる防災意識向上を図るべく、平成28(2016)年に第1回を開催したのが始まりです。

 防災に関する活動を実践する多様な団体・機関が一同に会し、取組・知見を発信・共有する日本最大級の防災イベントで、講義型セッションや来場者が楽しく学べる体験型ワークショップ、ブースでのプレゼンテーション、屋外展示等を実施し、令和4(2022)年度は第7回の開催となります。

防災推進国民会議とは

広く各界各層の団体・機関が集まり、防災の取組を報告する総理出席の会議。国民の防災に関する意識向上を図るべく、中央防災会議会長である総理大臣の呼びかけにより、平成27(2015)年9月に第1回を開催し、これまでに7回開催。

防災推進国民会議メンバー 一覧(全45団体)

経済界・
労働組合

一般社団法人日本経済団体連合会
公益社団法人経済同友会
日本商工会議所
日本労働組合総連合会
公益社団法人日本青年会議所

地方六団体

全国知事会
全国市長会
全国町村会
全国都道府県議会議長会
全国市議会議長会
全国町村議会議長会

消防関係

公益財団法人日本消防協会
全国消防長会
一般財団法人日本防火・防災協会

教育界

公益社団法人日本PTA全国協議会
公益社団法人全国子ども会連合会
全国幼児教育研究協会
全国連合小学校長会
全日本中学校長会
全国高等学校長協会
全国都道府県教育委員会連合会
全国市町村教育委員会連合会
一般社団法人国立大学協会
日本私立大学団体連合会
一般社団法人公立大学協会

学術界

日本学術会議
防災学術連携体

メディア

日本放送協会
一般社団法人日本民間放送連盟
一般社団法人日本新聞協会
一般社団法人日本雑誌協会

医療関係

公益社団法人日本医師会
公益社団法人日本歯科医師会
公益社団法人日本薬剤師会
公益社団法人日本看護協会

福祉関係

社会福祉法人全国社会福祉協議会
日本介護支援専門員協会
日本介護福祉士会

障害者団体

日本障害フォーラム(JDF)

女性団体

全国地域婦人団体連絡協議会
全国女性会館協議会

上記以外

日本赤十字社
公益財団法人日本財団
日本生活協同組合連合会
全国災害ボランティア支援団体ネットワーク

令和4年8月現在

防災推進国民会議メンバーからのメッセージ

日本労働組合総連合会
会長
芳野 友子
 労働組合の中央組織である連合は、働く人が報われる、様々な人が社会参加できる、「働くことを軸とする安心社会」をめざしています。

 阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震の他、頻発する台風・豪雨など、大規模災害が起こる度に、全国の仲間とともに救援カンパや災害ボランティア派遣など、被災地に寄り添い、復興・再生に向けた取り組みを進めています。また、災害に強い社会、被災者が報われる仕組みをつくるため、政府・政党などに対して、働く人、生活者の立場から様々な政策を提言し、実現に結びつけてきました。

 連合が持つ地域のネットワークを最大限活用し、災害の記憶と教訓を風化させることなく、災害時に即座に対応できる体制を維持し続けて参ります。そして、積み重ねた経験とお互いの支え合い・助け合いの気持ちをしっかりと未来につなげていきます。

 一人ひとりの力は小さくても、人と人がつながることで、困難は乗り越えていけます。誰一人取り残されることのない持続的で包括的な社会の実現に向けて、ともに頑張りましょう。
公益社団法人日本青年会議所
会頭
中島 土
防災推進国民大会2022の開催に際して

未だ新型コロナウイルス感染症への懸念が絶えない中ではありますが、多発する自然災害の猛威に対し、私たち青年会議所はそれぞれのまち独自のレジリエンス強化への取り組みと災害対応を実施しております。
本年7月、8月と大雨による災害が東北、北陸信越地区を中心として多くの地域で発災致しました。私たち青年会議所は全国各地のメンバーと共に全国社会福祉協議会や行政、NPO団体及びその他の関係諸団体との連携を図りながら様々な支援活動を今もなお展開しております。
また、災害に対する平時からの備えとして、防災・減災の意識を醸成する事業の実施や地域のレジリエンスを高めるためのネットワーク構築を推進しております。さらに、強靭な国土形成を促すインフラ投資に対する検証、提言も進めております。本大会が国民の防災意識の醸成に寄与し、有事に備えたまちのレジリエンス力の向上につながることを祈念致します。
全国知事会
会長(鳥取県知事)
平井 伸治
 災害列島とも言われるわが国では、全国各地で頻発する地震、豪雨、台風などの自然災害に対し、総力を挙げ、防災対策と復興に取り組んできました。
 また、いつ発生してもおかしくないとされている南海トラフ巨大地震、首都直下型地震などの巨大災害や、新型コロナウイルス感染症の流行下における避難対策も喫緊の課題です。
 全国知事会では、「共にたたかう知事会」を掲げ、災害から国民の大切な命と健康を守るため、47都道府県はもとより、国や関係団体の皆様と一丸となってこれからも力を尽くして参ります。
 国民の皆さまにおかれましても、防災学習、実践的な訓練、災害ボランティアなど、大切な生命、身体、財産を守るためご協力いただきますようお願い申し上げます。
 本大会を通じ、国民ひとりひとりの防災意識が高まり、地域の防災力が強化される契機となることを祈念致しますとともに、全国を通じた防災力がなお一層発展しますようお祈り申し上げます。
全国市長会
会長(相馬市長)
立谷 秀清
 近年、地震や大雨など大規模な自然災害が相次いで発生し、尊い命が失われるなど、多くの方々が被災し、地域は大きく傷ついています。
 被災自治体は、発災直後から中長期まで多岐の分野への対応が求められるため、全国市長会では自治体相互の支援体制や地方整備局長とのホットラインなどを構築しています。私自身、本年3月に発生した福島県沖地震災害の際、近隣のみならず遠方の自治体からも多くのご支援をいただくことができました。いつどこで起こるか分からない災害に対し、自治体間の連携だけではなく、お互いに力を合わせて助け合っていくということが、いかに大切かを実感したところであります。
 我々都市自治体の長は、住民に最も近い行政の長として、災害時は、生命、健康、財産を守るため、平時以上の努力が必要となります。今後とも、全国の市区長と連携し、共に協力しながら、防災対策などに努めてまいります。
全国市議会議長会 会長(横浜市会議長)
清水 富雄
 近年、我が国におきましては、集中豪雨や台風、地震など様々な自然災害が頻発し、住民生活の安全・安心が脅かされる甚大な被害が発生しています。毎年のように繰り返される豪雨災害に加え、この3月には福島県の沖合を震源とする地震により多くの方々が被災されました。
 各地方自治体では、未だ収束の見えない新型コロナウイルス感染症に対応しつつ、住民の生命・身体・財産を守るため様々な取組を行っております。全国市議会議長会としても、このような地方自治体を取り巻く状況を踏まえ、被災地への視察を行うなど、防災・減災対策及び復旧・復興対策の充実強化に向けて、全国の各市議会とも連携して取り組んでおります。
 今回の大会は、兵庫県神戸市において「未来につなぐ災害の経験と教訓~忘れない、伝える、活かす、備える~」をテーマに開催されますが、27年前に発生した阪神・淡路大震災という未曽有の大災害の経験と教訓を踏まえ、改めて日頃から防災に取り組むことの重要性を再認識し、今後の議長会及び各市議会における活動に役立てていきたいと存じます。
全国町村議会議長会 会長(湯沢町議会議長)
南雲 正

未曾有の大災害となった東日本大震災以降も、大規模自然災害が頻発に発生しています。
今年も台風や地震、線状降水帯による集中豪雨により、各地で甚大な被害が生じているほか、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中で、多くの住民が不自由な生活を強いられています。
こうした中、町村議会・議員は、住民に身近な存在として、日頃から住民や集落の声・つながりを意識し、地域の防災施策に反映させるとともに、助け合いの輪が広がるよう地域の防災・減災対策に取り組んでいます。
首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模自然災害の発生も懸念されていますが、災害はいつどこで起こるか分かりません。これまで経験した自然災害の教訓を踏まえ、日頃から防災用品の備蓄、避難場所・避難経路・危険箇所・安否情報の確認・共有、実践的な訓練の実施等で地域防災力を高め、災害に強い持続可能な地域づくりに取り組んでいきましょう。

公益社団法人日本PTA全国協議会
日本は豊かに恵まれた自然に囲まれた一方、地震、台風、津波、水害、土砂災害、火山活動など、最も自然災害が多い国の一つであります。災害が生活の身近にあると言う事は、自然災害に対する備えを常に行わなければならないと言う事であり、その為には正しい知識を身に着け、タイムリーな情報を得ることが必要不可欠です。また、自助・共助・公助の観点からも、常日頃からつながりを大切にすることが求められています。公益社団法人日本PTA全国協議会としても、防災教育の重要性を認識し、日本最大の社会教育関係団体として、大人も子供も一緒になって防災の知識を学ぶことに力を入れてきております。また東日本大震災の際には「心のきずな61教育支援基金」として、被災地の教育環境を整える活動をしてまいりました。今後も、家庭・地域・学校と多くの関係者とともに、防災力向上に取り組んでまいります。
全国連合小学校長会
会長
大字 弘一郎

 全国連合小学校長会では、東日本大震災被災県の小学校長会と連携し、災害の経験と教訓を共有し、災害からの復興促進及び風化防止を図る防災教育を推進しています。合わせて、教育課題の重点のひとつとして防災教育等の学校安全に関する課題を位置づけ、調査研究を進めるとともに、研究協議会全国大会等においても、自ら判断し行動できる子どもを育てる安全教育・防災教育の推進をテーマに取り組んできています。
 大地震に加え、近年、記録的豪雨等による想定を超える自然災害の発生が増えており、防災教育・安全教育の一層の推進が求められています。これからも、子ども、家庭、地域社会、関係機関とともに、連携・協働を図った組織的・計画的な防災教育の充実に向け情報や取組の共有を進め、全国の防災力の向上に取り組んでまいります。

全日本中学校長会
 「阪神・淡路大震災」から27年、「東日本大震災」から11年が過ぎましたが、今の中学生には「東日本大震災」も幼児期の出来事であり、記憶は薄いようです。
 しかし、日本は地震や火山活動が活発な地域にあり、最近は地球温暖化など環境の変化から、非常に強い熱帯低気圧による被害、記録的短時間豪雨による洪水や土砂災害なども頻発しています。そのため、多くの尊い命を奪った災害の風化防止に加え、近年多発する自然災害への対応も学校教育に求められています。
 中学校では、各教科等の学習や避難訓練を通して「危険を予測し回避する能力」を高めるとともに、災害時に「他者や社会の安全に貢献できる資質・能力」の育成を図るための体系的な防災教育も推進しています。
 今後も、家庭や地域など多くの関係の皆様と共に全国の防災力向上に取り組むとともに、自他の生命尊重の理念を基盤とし、安全で安心な社会づくりに貢献できる生徒の育成に尽力してまいります。
全国高等学校長協会
会長
石崎 規生
 高等学校では、様々な機会に防災や減災について学習しています。例えば、阪神・淡路大震災や東日本大震災のとき、高校生がどのような活動をしたかを調べ、災害時、震災の被害を最小限にするために高校生としてどのような行動ができるかを考える、といった学習が行われている学校もあります。こうした学習は、大会のテーマ「忘れない、伝える、活かす、備える」を実現し、高校生一人一人の防災についての意識を高めるものと考えます。
 阪神・淡路大震災から27年が経過し、「自助・共助・公助」という言葉も定着しましたが、災害時に高校生が果たす役割に大きな期待が寄せられていることを認識し、まず自分自身の身を守ることを最優先にしながらも、高校生が災害発生時に少しでも貢献できるよう防災意識を高めていきたいと思います。
 兵庫県で開催される本大会が、防災教育の原点に立ち返り、広く私たちの防災意識を向上させ、災害に強い国づくりに資する機会となることを期待いたします。
全国都道府県教育委員会連合会
 令和4年3月に発生した福島県沖を震源とする地震や、異常気象による豪雨をはじめとする災害は、多くの地域で甚大な被害をもたらしております。謹んで犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、一日も早く、被害を受けた皆様が日常を取り戻せますよう、心からお祈り申し上げます。
 我が国では近年、繰り返し発生する地震や豪雨、台風などの災害により、大きな被害が生じています。このような中、都道府県教育委員会では、学校と連携し、児童生徒が災害時に主体的に行動できるよう、防災教育の充実を図っています。
 また、体育館等の学校施設は、発災時に地域住民の応急的な避難所としての役割も担っていることから、地域の皆様や関係部署とも連携して、学校施設の防災機能の向上を図っています。
 今後も、国民の皆様、関係機関の皆様とともに防災推進に向けた取組を行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
全国市町村教育委員会連合会
 我が国は自然に恵まれている一方、地震、津波、火山の噴火、さらには台風、線状降水帯による豪雨、河川の氾濫、竜巻など日本列島を取り巻く様々な自然災害の発生に油断ができません。
 東日本大震災の発生から10年以上経ちます。その後も大規模な自然災害が発生しております。さらに、新型コロナウイルス感染症による新たな課題に直面しております。
「備えあれば憂いなし」とまではいかないものの減災や二次災害を防ぐ努力はできるのではないかと思います。
 全国各地で毎年発生している大規模な災害から尊い命を守るためにも、自助、公助を柱とした取組が大切です。本連合会としても、各市町村教育委員会、学校、さらに一人一人が「防災」に対し一層理解を深め、少しでも災害を防げるように願っております。
一般社団法人国立大学協会
 国立大学協会では、3.11 東日本大震災を契機に、平成23 年度から、各国立大学が地域と一体となって実施する防災や災害復旧・復興に関する活動を「防災・日本再生シンポジウム」として、その経費や広報の一部を支援してきました。開催から約10 年が経過し、社会情勢等が大きく変化したことを踏まえ「レジリエント社会・地域共創シンポジウム」へと改称し、防災を含め、地域共創によりレジリエントな地域社会を実現していく活動についても支援することとしました。
 本シンポジウムが、地域住民、地元団体の皆様との連携が強化される機会として活用いただけることを期待しております。このような機会を通して皆様からのご意見を受け止め、防災を含めて地域貢献に関わる国立大学の教育・研究の一層の発展に努めて参ります。
 最後に、この防災推進国民大会が広く国民全体の防災意識を向上させ、災害に強い国づくりに資する機会となることを期待し、メッセージとさせていただきます。
日本私立大学団体連合会
会長
田中 愛治

 「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」が開設20周年を迎える年に当たり、この「防災推進国民大会2022」が、兵庫県神戸市で開催されることは大変意義深いことと存じております。
災害の多いわが国においては、国民一人ひとりが災害の経験や教訓の伝承の重要性を再認識し日頃から防災に取り組むことや、地域・学校・企業・ボランティアなどが互いに助け合える「自助・共助」の体制作りが極めて重要です。

 私立大学の施設は、学生や研究者の学修研究の場であるというだけではなく、災害時においては、被災地域の住民の避難所や復興に向けたボランティアセンター等として、地域における重要な拠点の役割を担うなど、防災・減災や復旧・復興を支えています。また、私立大学は、これまでの経験をもとに被災地から考える未来型の教育モデルづくりや防災教育を推進しています。
 大学生の8割の教育を担う私立大学は、未知の課題に取り組む人材を育成し、大学の知的資源の活用によって、防災や災害復興の拠点としての役割を果たすべく、更に積極的に取り組んで行く所存です。

一般社団法人公立大学協会
 二次被害としての「人災」を引き起こさないために

 近年、さまざまな災害に見舞われる日本は、災害列島そのものです。
 最近の取り組みの1つに、テレビ報道を担うNHKと民放各社のアナウンサーがそろって出演して、「私たちが正確な情報をお伝えします」というメッセージを発信するキャンペーンがあります。災害時には、不確かな噂やSNSなどで不安を煽る情報が広がりやすいことに着目しているのです。
 噂は誇大になりやすく野火のように広がって、人をさらなる不安と混乱に陥れていきます。その最悪の悲劇が関東大震災における噂だったと言われています。「不確かな噂」によって二次災害たる人災を引き起こしたからです。けれども2011年3月11日の東日本大震災は、震災に加えて原発事故という稀に見る人災を引き起こした点で、従来の災害とは全く異なる要素を持っています。
 自然災害に加え「人災」が起こらないようにするためには、どうしたらいいか、それが現代の「防災」における緊急の課題だと思います。
日本学術会議
会長
梶田 隆章
 日本は災害大国とも言われ、毎年様々な自然災害に見舞われています。我々日本学術会議は科学者コミュニティとしての立場から、度重なる災害から命を守るため、様々な分野の専門家が集まり議論することで科学的知見を深め、その情報を広く国民に発信しています。
 日本学術会議においては、今期も「防災減災学術連携委員会」を設置し、62の関連学協会からなる「防災学術連携体」と連携し、定期的に委員会を開き議論を深めています。防災には多くの研究分野が関係するため、専門分野の枠を超えて様々な課題に取り組むことが重要です。
 今回の防災推進国民大会においても、日本学術会議は「自然災害を取り巻く環境の変化」をテーマに防災学術連携体と共催の上、シンポジウムを開催します。皆様との貴重な意見交換の機会となり、防災に関する科学リテラシーの普及に繋がることを期待しております。
(一社)防災学術連携体
代表幹事
米田 雅子
日本は地震・津波による災害、台風や前線活動に伴う風水害・土砂災害・豪雪災害、火山噴火など、自然災害が多い国です。私たちの前には、地球温暖化と相俟って、自然災害と感染症の同時発生、線状降水帯の頻発化、記録的な猛暑など、次々と多様なハザードが出現しています。これらに備えるためには、ハザードと災害に関する正しい理解と情報が不可欠であり、多くの専門分野の知見が必要です。防災学術連携体は、防災・減災の多様な分野に関わる62の学協会が、日本学術会議を要として集まり設立された学術団体です。専門分野間の連携を進めるとともに、社会や一般市民に向けて災害に対する事前の備えや災害時の対応などに関する情報を、わかりやすく伝える活動をしています。今後の、防災・減災のための自助・共助・公助の一層の推進に向けて、皆様と一緒に取り組んでいきたいと考えています。
一般社団法人日本新聞協会
会長
丸山 昌宏
 新型コロナウイルスの流行が人々の日常生活に大きな影響を与えているなか、列島各地では地震や豪雨などの大規模な自然災害が相次いで発生しています。
 新聞・通信各社は、紙面やインターネット上で防災・減災に役立つ情報を発信するとともに、シンポジウムやイベントの開催などを通じて啓発活動を展開しています。東日本大震災から10年の節目となった昨年は、第74回新聞大会を被災地である岩手県盛岡市で11月に開催しました。新聞社幹部による研究座談会では「報道は災害にどう向き合うのか」をテーマに、災害の教訓を次世代にどう伝えていくかなど、報道が果たす役割について議論しました。
 新聞・通信各社は報道や事業活動を通じて、災害の風化を防ぐとともに、読者の防災意識を高め、命を守るために必要な知識や正確な情報をこれからも発信していきます。
公益社団法人日本医師会
会長
松本 吉郎
 これまで日本医師会では防災力を推進するために、日本医師会災害医療チーム(JMAT)の創設、災害対策基本法上の指定公共機関への指定、中央防災会議への参画、日本災害医学会との災害医療に関する相互協力協定の締結等、様々な取り組みを着実に進めてまいりました。また地震災害や豪雨災害などの実災害の教訓も生かしながら、ソフト・ハード面の体制整備を進めてまいりました。
 今回、日本医師会では、近年は災害の直接死だけではなく、災害関連死の防止にも注目が集まっていることを踏まえ、「避難所における健康管理・医療支援」についてシンポジウムセッションを行います。過去の災害やコロナ禍での災害対応で得られた知見を基に、今後の災害医療体制や備えについて考えたいと思います。
 日本医師会としては、今後とも新たな知見をアップデートしながら、医師の専門家集団の立場から皆様のお役に立てるよう努めてまいります。
公益社団法人日本歯科医師会
会長
堀 憲郎
 防災推進国民大会2022は、阪神・淡路大震災の被災地、兵庫県神戸市で開催されます。災害時における歯科の役割については、特に阪神・淡路大震災から多くの教訓を得ました。
 その一つに、避難所等での緊急歯科医療提供や口腔健康管理の確保があります。抑制された生活環境では、高齢者や有病者は勿論、被災された方の歯磨きを含むお口の健康管理が難しく、そのため誤嚥性肺炎等全身状態の悪化による犠牲者もでています。災害時こそ「口腔の健康が全身の健康に密接に関わること」を忘れないでください。
 日本歯科医師会には、地域歯科医師会の要請に応え、口腔衛生関連物資が迅速に被災地に届ける体制があります。更に地域の歯科医師会では行政や医師会等と連携し、歯科医師やスタッフが被災された方々の健康維持に努めます。
 国民の皆様には、日頃からの防災意識として、「歯とお口の健康管理」を心がけ、実践していただければ幸いです。
公益社団法人日本薬剤師会
会長
山本 信夫

 1995年に発生した阪神・淡路大震災は、兵庫県を中心に甚大な被害をもたらしました。痛ましい犠牲は、国民の防災意識を大きく向上させただけでなく、日本の災害医療に大きな転換を促しました。私たち薬剤師も、この震災での支援活動での経験を通して、災害医療に携わる医療従事者の一員として強い自覚を持ち、都道府県薬剤師会や関係団体と強固な連携を構築して参りました。
 阪神・淡路大震災から27年が経過した今も、東日本大震災をはじめ大規模な自然災害が多発し、また、より大規模な直下型地震の発生も懸念されております。さらに、新型コロナウイルス感染症という未曽有のパンデミックが、今なお人々の健康や経済に深刻な影響を与え続けています。
 災害医療への対応はより厳しさを増すことが予想されます。日本薬剤師会は、これまでの経験を踏まえ、被災地にあって、尊い人命を守るため、必要な医薬品が適切かつ安定的に提供できるよう、今後も努力して参る所存です。

公益社団法人日本看護協会
新型コロナウイルス感染症がいまだ収束しない中、日本各地では大雨、台風、地震、火山活動等、被害を伴う災害が頻発しています。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますと共に、ご遺族の方々、被害にあわれた方々に心からお見舞いを申し上げます。
27年前、阪神・淡路大震災を経験した神戸の地で、多くの看護職がボランティアとして活動をしていました。そして、今、その経験を通じて、日本看護協会では災害支援ナースの仕組みをつくり、被災地での医療・看護の提供につとめています。

これからも、看護職は、感染症や自然災害への備えなどの健康に関する危機管理の意識をさらに高め、日々の活動に取り組んでまいります。

災害の経験と教訓を活かして、自身や家族、地域の人々を守るためには、私たち一人ひとりが備え、地域で共に助け合える確かな力を育み、継承していくことが大切です。

防災推進国民大会2022が、一人ひとりが「自分事」として災害について改めて考え、確かな防災の取り組みへとつながっていく機会となることを期待しています。
社会福祉法人全国社会福祉協議会

「住民との連携・協働により災害への備えを築きましょう」

阪神・淡路大震災以降、災害発生時には多くの災害ボランティアが、被災者の生活再建に向けて活動しています。また、社会福祉協議会は、災害ボランティアセンターを運営するほか、行政、社会福祉法人・福祉施設、NPO等とともに被災者の生活支援を行っています。
災害の頻発化、被害が大規模化・広域化する中で、避難生活の長期化や災害関連死など災害をきっかけとする多様な生活課題が明らかとなっています。
これらの課題に適切に対応するためには、行政や関係機関による取り組みだけでなく、平時からの住民との連携・協働が重要です。
社会福祉協議会では、都道府県域において災害福祉支援活動の調整機能を担う災害福祉支援センターの設置を進めており、地域ごとに災害に備えるとともに、被災者だけでなく地域住民に寄り添った支援が提供できるよう、平時からの準備、訓練等の取り組みを進めています。
災害は、いつ、どこで、発生するかがわかりません。社会福祉協議会は地域住民や皆さまと一緒に災害に強いまちづくりを進めていきます。

日本介護支援専門員協会

今大会テーマは「未来につなぐ災害の経験と教訓~忘れない、伝える、活かす、備える~」で、今回の開催県兵庫県神戸市は阪神淡路大震災の被災地であり、その当時報道の持つ力で未曾有の被災地の被害状況に心を震わせ、支援の手立てすら見つけられなかった記憶が今でも、思い出せます。つまり、「忘れない」の原点がここ神戸にあるといっても良いのではないでしょうか?
「忘れない、伝える、活かす、そして日頃から備える」ことが災害被害を最小限にとどめるための最善策である事を本大会で再認識し、BCP計画策定に役立てたいと思います。
日本介護支援専門員協会では、国民のみなさまへのメッセージの「5つの約束」の一つに、「私たち介護支援専門員は、災害時や感染症禍の中でも支援を止めません 。」を掲げて、東日本大震災を契機に、「災害支援マニュアル」を作成し、災害支援ケアマネジャーの育成や、全国での発災時の情報共有、復興へのサポートなどに取り組んでおります。利用者の日常生活を知り、リスクアセスメントを行い、ハザードマップに照らし合わせて避難準備行動計画を利用者家族と考える機会が増えたことは言うまでもありません。
もとより災害がないに越したことはありませんが、そうはいかないことは言うまでもないところです。
本大会で、それぞれのお立場の方々の英知を共有し、防災減災に活用できることを祈念いたします。

公益社団法人日本介護福祉士会
東日本大震災以降も、熊本地震、度重なる豪雨災害、伊豆山土砂災害など、あっという間に生活が一変する様子を、報道等を通して目にするたび、国民一人ひとりが、防災活動や日頃からの備え、避難の在り方などについて考えられたと思います。
私ども日本介護福祉士会が、ボランティア活動を通して、特に考えなければならなかったことは、被災した状況の改善はもとより、その先の生活の営みでした。
やっと被災した自宅に帰っても、ライフラインが途絶えた状況では、生活を継続させること自体難しい状況でした。地域力が低下し、お隣さんへは助けも求められません。被災された方々の心のケアも必要です。お一人おひとりの生活が違うように、お一人おひとりの支援の在り方も違います。そのことを忘れず、生活を支援する専門職能団体として、被災された方々の生活の営みの支援の在り方について検討を重ねて参ります。
公益財団法人日本消防協会
 阪神淡路大震災は関東大震災以来の大都市を直撃する大規模地震であり、発災時さまざまな経験をしながら、兵庫県、神戸市等は全力を尽くして対応し国もこれを機に全国的な応援体制として緊急消防援助隊を発足させるなどしました。
 これらの中で得た防災減災への取組、被災者の生活維持等の幅広い知識経験をこれからの消防防災対策にどう活かすか協議し、消防防災対策の一層の充実に資することを目指したいと思います。
 都市直下型地震等の大規模災害への総合的な防災・減災対策の重要性、そのための関係者の大変な努力の実態、さらに一層の改善に向けて今後の総合的な取組みの必要性など、具体的な課題等についてご議論いただきます。
全国消防長会
 全国消防長会は、全国723消防本部の消防長で構成する団体です。地域に密着した防災機関である消防本部の橋渡し役を担い、緊密な情報交換と連携により各種施策を推進しています。
 最近におきましても、本年3月の福島県沖を震源とする地震、8月の東北・北陸地方での大雨など、甚大な被害をもたらす自然災害が相次いで発生しています。
 大規模災害発生時には地元消防機関はもとより緊急消防援助隊が全国各地から駆け付け、救助活動などを行いますが、まずは住民のみなさんが自らの命を守るため、安全なうちに早めに避難を完了することを心掛けてください。避難する際はまわりの方とも声を掛け合って、いっしょに避難することで、まわりの方の命を助けることにもつながります。
 われわれ消防は、国民の生命、身体、財産を守るという使命のもと、これからも地域住民の期待に応えられるよう結束し、住民のみなさんの安全・安心を守ります。
防災推進国民会議議長、防災推進協議会会長(日本赤十字社社長)
清家 篤
 27年前に発生した阪神・淡路大震災は、建物の倒壊とそれに伴う火災によって甚大な被害をもたらしました。
 この震災は近代都市の脆弱性を露呈させた一方、地域住民による自発的な救出・救助活動により多くの命が救われ、全国各地からもボランティアが駆けつける等、「自助」「共助」の重要性が強く認識されるきっかけにもなりました。そして何より一人ひとりが防災・減災の大切さを考える原点にもなりました。
 近年、災害の多発化や激甚化などにより、私たちの取り組むべき課題も更に広がりを見せておりますけれども、兵庫県での経験と教訓が、被災地における被害の軽減や復旧・復興に活かされてきたことは、高い意義を有するものであります。
 私たちは、災害の経験と教訓を継承し、次世代に引き継ぐ責務を有しています。本大会を通じて、人々が助け合い、安全で安心して暮らせる地域づくりが進められることを心より期待いたします。
日本生活協同組合連合会
代表理事会長
土屋 敏夫
阪神・淡路大震災から27年、東日本大震災から11年が経ちましたが、被災地の復興にはまだ多くの課題が残されています。全国の生協も発災直後から被災地に入り、被災地の生協とともに地域支援の活動、募金等に取り組みました。今年の3月には、再び東北の地で最大震度6強の地震が発生し、大きな被害をもたらしました。8月には北海道、東北、北陸地方と広い範囲で豪雨被害が発生しました。あらためて被害を受けられた方々と地域の皆さまには心よりお見舞い申し上げます。
 私たち生協は、地域に根差した助け合いの組織として、課題解決に向けてさまざまな団体との連携を進めています。多様な組合員が参加してつながることの価値に確信を持ち、「日本の生協の2030年ビジョン」で掲げた「つながる力で未来をつくる」を大切に、多くの皆様とともに、安心してくらせる地域社会づくりを進め、ご一緒に未来を切り拓いてまいりたいと存じます。
特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク
 3月に発生した福島県沖地震や、7月・8月の豪雨災害においては、被害を受けた地域を支援しようと、全国から多数のボランティアやNPO等がかけつけました。しかしながら、災害が頻発していることから被災地によっては「支援が十分ではない」状況があります。また、これまで十分に支援が行き届いていなかった被災者もおり、多様なニーズにいかに対応するのかを考えていかなければなりません。そのためには、災害時のみならず平時からそれぞれの地域において、支援の担い手を増やし、官民の連携体制を整え、災害対応力を高めていく必要があります。
 被災者支援は、行政・ボランティア・NPO・企業・市民が持つ力を結集して取り組まなければなりません。JVOADでは、行政・ボランティア・NPO等の「三者連携」強化に向けた取り組みを内閣府防災とのタイアップのもとで進めてきました。「ぼうさいこくたい2022」では、様々なセッションが展開されます。より多くの人に被災者支援の重要性を知っていただくとともに、ともに被災者支援の取り組みを進めるきっかけとなることを願っています。誰一人取り残さない社会の実現をめざし、一緒に取り組んでいきましょう。